とちぎ居場所インタビュー企画、第一弾‼︎
今回は栃木県真岡市で、オンラインとリアルで場所を運営しているハロハロラボの代表小川さんにお話を伺ってきました。
途中、涙ながらに語ってくださるシーンもありました。ご自身のお子さんの経験もあり、居場所が誕生したとのこと。インタビュー中に見せる、その明るさと温かな眼差しがとても印象的でした。それではじっくりご覧ください。
―聞き手=土橋/語り手=小川(ハロハロラボ代表)
Contents
名前に込めた願いと誕生の背景

“Hello, hello” は、こんにちは!と出会っているところです。また、ハロハロはタガログ語の halo-halo――すきなこと、なんでも、ごちゃまぜ、という意味を重ねました。最後の“ラボ”は実験室。「やってみる」を大切にしたくて実験室のラボにしました。

立ち上げの原点は、小川さんご自身の子育て体験にありますよね。

そうなんです。下の子が心臓疾患を抱え、コロナ禍で外出も登校も難しくなった2020年、「家にいながら誰かと安全に、好きな事・興味でつながれる場がいる」と痛感しました。同時に、特別支援学校に通い始めたわが子が地域社会から分離されてしまう現実も知り、「障がいの有無や登校状況に関係なく地域に“当たり前にいる”」をつくりたい――それがハロハロラボの出発点です。
オンラインで「本当に心が動く」仕組み

ハロハロラボは平日毎日オンラインで開いていると伺いました。ネット越しなのに子どもたちが深くつながれる仕掛けがあるとか。具体的に教えてください。

映画やラジオは手に取ることはできなくても、心は動くというのは皆さん体験があると思うんです。たとえばメタバースでのやりとり。子どもたちはアバターで参加し、紙吹雪を舞わせたり炎エフェクトを出したり自由に感情を表現します。不定期に行うオンライン遠足では、エジプトにいるボランティアさんが話をして下さったり、水族館のトドとリアルタイムで“掛け合い”したり。画面越しでも「自分の声が届いた!」という感動が生まれます。

初めて読まれる保護者の方向けに、オンライン活動の全体像も整理したいと思います。大きく二つの柱があるのですね。
同じ時間につながるオンライン | ○メタバース朝の会 ◯マイクラ共同ワールド(サバイバル/クリエイティブ) ◯オンライン遠足や季節イベント(卒業式・夏祭り・節分など) |
投稿でゆるくつながるオンライン | ○顔に見える部(顔に見える物を見つける) ◯クッキング部 ◯アート・工作ギャラリー ◯アウトドア部(ザリガニとりや焼き芋を作ったよなど) などなど |

他にも・・・日本各地にいてなかなか会えないけど、オンラインで同じ日に同じ種を植えて植物を育てたり、テーマを合わせて絵を描き「公式グッズ」を制作したり、お互いを実感できることを大事にしています。
リアルで広がる“実験室”――駅舎と廃校を舞台に

オンラインが充実する一方、真岡鉄道の久下田駅舎や廃校をリアル拠点にしているとお聞きしました。まず駅舎の方からご紹介いただけますか?

久下田駅舎2階は太陽光がたくさん差し込む開放的な空間です。お絵描きしたり、ミシンや書道、ボードゲームなどやりたいことをして過ごす場です。1階は市民の皆さんから頂いた寄贈本がある小さな図書室です。2階とは異なり静かに過ごせる場、本が気軽に手に取れる場として皆さんと作りました。

さらに旧中村南小学校も活用されていますね。

はい。3階の音楽室・図工室・家庭科室・理科室をお借りし使用しています。大型作品やオルガン演奏、電子顕微業を使った本格実験などなど、「やってみたい」を思いきり試せる場所です。どなたも楽しめる場として、放課後等デイサービスを利用しているお子さん達や就労支援施設の方とも連携し、特性の有無を超えて過ごすことができる場、「フルインクルーシブ」を目指しています。
「遊び」と「感情」を学びの真ん中に置く

読者の方に伝わるように改めて伺います。ラボの活動は一見「遊び」に見えますが、学びの要素がぎっしり詰まっているとか。

楽しい体験がお子さん達には残ると思っています。ハロハロラボでは地域の方と一緒に料理を作ったり、ミシンで制作したり、理科実験をしたりと体験的な学びを行っています。真岡市内の複数の小学校において、出席認定を頂けていて、学校とも連携を取っています。

そして大切にしているのが“感情最優先”という姿勢。怒りや嫌いも宝物だとお話しされていますね。

はい。何よりお子さんたちの気持ちを大事にしたいです。好きも嫌いも、嫌だ、も大事なお子さんの感情。転んで「痛くない」ではなく「痛かった」「嫌だった」「恥ずかしい」という気持ちはお子さんの大事な感情です。気持ちを大事にすることがお子さんを尊重する事だと思っています。
今後のビジョンと保護者へのエール

多様な職種のボランティアさんや外部企画講師も魅力ですよね。新聞記者、海外駐在員、フリーランサー…。

なかなか色んな職業の方に出会うというのは難しいのが現状だと思います。色んな素敵な大人に子ども時代に出会ってほしいです。

最後に、学校に行かない子どもを育てる保護者の皆さんへメッセージを。

学校に行かない、となると、あらゆることを一手に引き受けておられる状況かと思います。食事、生活、学習、社会性、運動など何役もを。私は、社会から孤立した気持ちになり不安や心配、絶望のような気持ちでいました。一人ではないです。親の会やハロハロラボなどどこかと繋がっていただければと思います!あなたのお子さんは素敵です!本来子育ては地域みんなでする事だと思います。一人で抱え込まず、一緒にお子さんの成長を見守られせて下さい。

もう1つだけ最後に! ハロハロラボのビジョンを教えてください。

ハロー!と気軽に繋がれる場。好きなことを大事にし、やってみること、失敗する事を大事に、色々試せる実験できる場(ラボ)です。子どもがど真ん中に、色んな年代、人、障がいが特性に関わらず繋がって一人ひとりが尊重される社会を皆さんと作っていけたらと思っています。
ハロハロラボをもっと知りたい方
小川さんにインタビューした様子をYouTubeにアップしています。
普段のハロハロラボの様子もご覧いただけますので、ぜひご視聴ください!
ハロハロラボの詳細・お問合せはこちら
まず読者の皆さんに向けて、ラボの名前からご紹介を。ハロハロラボ――少し不思議で覚えやすい響きですが、どんな想いが詰まっているのでしょう?