とちぎ居場所インタビュー企画、第4弾‼︎
今回はLINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」で、相談支援員をされている”Aさん”にお話を伺ってきました。お母さんのほけんしつは、NPO法人キーデザインが運営している、子どもの不登校に悩む保護者向けの無料LINE相談です。
インタビュアーである私の目線で記事にさせていただきます。どのような思いを持って、保護者のみなさんのご相談に乗っていらっしゃるのか、伝わるものがあれば幸いです。ぜひご覧ください。
LINE相談は、不登校の親子にとって最後の扉
「LINE相談は、不登校の親子にとって“最後の扉”のような場所かもしれません」
そう語るのは、「お母さんのほけんしつ」で活動する支援員Aさん。子どもの不登校に悩むお母さんたちの心に寄り添いたいという思いで、LINE相談の支援員となった彼女は、今日もスマホの向こうにいる誰かのために、言葉を丁寧に紡いでいます。
「私が一番大切にしているのは、そのメッセージが届くまでに、相談者がどれほどの葛藤を乗り越えてきたのかを想像する時間を持つこと。たった数行の文の裏に、どれだけの思いが詰まっているか……それを忘れないようにしています」

“お子さんが不登校になった”という事実。その言葉の奥には、たくさんの相談機関に足を運んで傷ついた経験、誰にもわかってもらえなかった苦しみ、そして、それでもなお子どもを愛する気持ちがあります。
LINEのやりとりを通して気づくお子さんへの愛や願い
「文字には現れていないけれど、たしかに込められている“愛”や“願い”に気づけるように、自分の目や心を研ぎ澄ませていく。それが、1通目の返信を打つ前に、私がやっていることです」
Aさんが印象に残っている相談のひとつに、発達特性をもつ子どもへの理解をめぐって悩むお母さんからのやりとりがありました。学校の支援員から心ない言葉をかけられ、傷ついていたお母さん。けれどAさんは、そのことをすぐに深掘りせず、まずお子さんの“素敵なところ”に焦点を当てる問いかけを重ねました。
やがて、そのお母さんは長文のメッセージの中で、お子さんがどんなに多くのことに挑戦し、どんなに魅力的な存在かを語りはじめたのです。そして、自身が感じたつらさも、整理された言葉で綴ることができるようになっていました。
「最後には“最近描いたんです”と、水色の泡が浮かぶ、とてもやわらかく美しい絵を送ってくださいました。それまで黒っぽかった絵が、ふっと変わったんです。まるで、お母さんの心に光が射したような気がして、私も胸がいっぱいになりました」

LINE相談では、表情も声もない中で、言葉だけで相手に想いを届けます。Aさんはその難しさを自覚しながらも、「言葉の行間」に想いを込め、相談者が本当に語りたかったことへと自然にたどり着けるよう、言葉の順番や問いかけに細心の注意を払っています。
「私たち支援員のやりとりは、いわば“対話の糸”。お母さんが自分自身の力に気づき、“私、思ったより頑張ってたんだな”って、少しでも自信を取り戻せた瞬間に立ち会えると、やっていてよかったと心から思えます」
不登校という出来事を、意味のある時間に
Aさんは、不登校という出来事が、親にとっても「人生を立ち止まり、見直し、再構築する」大きなきっかけになると感じています。そのしんどい時間が、誰かにとって意味ある時間になるよう、支援員としてできる限りの言葉を届けていきたい——そう語ります。
そして、この活動を陰で支えるマンスリーサポーターに向けて、こう感謝の言葉を届けました。
「私たちは、今まさに悩みの渦中にいるお母さんたちに集中しています。その支えになってくれているのが、サポーターの皆さんです。相談員が迷わず言葉を届けられるのは、安心して活動できる環境があるから。本当に、ありがとうございます」
“逃げ場がどこにもない”と感じたときに、ふと目に留まるLINEの窓口。
そこが、誰かの心を開く「最後の扉」になれるように。
今日もまた、静かに誰かを支える支援員がいます。
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お母さんのほけんしつは、自治体からの助成はなく、寄付などで運営しています。ぜひ一緒に、社会から孤立する親子を支えませんか? 気になる方は画像をタップ!

「お母さんのほけんしつ」をもっと知りたい方
お母さんのほけんしつは、NPO法人キーデザインが運営する、保護者向けの無料LINE相談窓口です。ご関心のある方は下記より紹介ページをご覧ください。
また、お母さんのほけんしつは自治体等からの補助・助成などはなく、個人や企業のみなさまのご寄付で成り立っています。ぜひ相談窓口を支えていただけませんか? 月々1,000円〜の継続寄付サポーター、もしくは単発でのご支援が可能です。
Aさんは、子の不登校に悩むお母さんが「LINE相談にメッセージするまでの葛藤を想像する時間を持つ」事を意識されています。そして、悩みの中にも、お母さん方の子どもへの愛を感じると言います。子の不登校という現実の中で、悩み葛藤し、時に傷ついてきたお母さんが、忘れかけていた自分の本心に気づけるような問いかけを、と「一通目の返信には、目と心を研ぎ澄まします」と仰るAさん。LINE相談は、”誰かの心を開く最後の扉”。Aさんは今日もスマホの向こうにいる相談者の方へ、丁寧な言葉を紡いでいます。(たより編集部)