「お腹が痛い」
「ずっと下痢気味で調子がわるい」
不登校、行き渋りをする子どもからこんな言葉を聞くことはありませんか?
もしかしたらそれは過敏性腸症候群かも。
日本人の5〜10人に1人の有病率があるといわれる病気について解説します。
症状
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome :IBS)は、大腸および小腸に潰瘍や腫瘍などの器質的異常がないにもかかわらず、下痢あるいは便秘などの便通異常と腹痛、腹部膨満感などのおなかの症状がある病気です。
日本における有病率(人口中、その病気を持っている割合)は10~20%と報告されているそうです。社会の複雑化、ストレスの増加に伴い、その症状で悩む人が多く、注目されています。男性より女性に多く、年代別では思春期から壮年期までみられ、20~40歳代に好発します。男性は下痢型が多く、女性は便秘型、あるいは下痢と便秘を繰り返す混合型が多いといわれています。
原因
過敏性腸症候群の発病あるいは症状が悪くなる原因としては身体的、精神的ストレスが大きく関与しているそうです。
生まれつきの性格あるいは育った環境などにより病気のもとが形成され、腸が敏感になります。そこに身体的、精神的ストレスが加わり、腸の機能異常が発生。腸が痙攣して過剰に収縮したり、ゆるむことができなくなり、運動の異常が生じます。
また、脳および腸の感覚が敏感となり、感覚の異常が発生します。運動の異常と感覚の異常から過敏性症候群の症状がでると考えられています。
症状が出たらどうすればいい?
ストレスや生活の乱れによって起こることが多くあるので、まずは生活習慣の改善指導をおこなうことが大切です。最近は、薬や漢方により治療もおこなわれています。次に家庭でできる対処法を整理します。
- 【病気への理解】なぜ今の症状が出ているのかを理解することが治療の一歩となります。ストレスが背景にあることが多いため、そのストレス要因を知り、それを除くことが大切です。
- 【生活改善】↑を実行し、ストレスが減ることで子ども自身の気持ちが安定してきたら生活改善を意識していきましょう。規則正しい生活が排便のリズムを作ります。
- 【食事療法】便秘型の場合には、線維の多い食物の摂取を勧めます。下痢型の場合は、消化のよいもの、油っぽくないものがお勧めです。
- 【薬での治療】薬の治療では薬剤の選択と量の調節が重要で、かかりつけの先生とよく相談することをお勧めします。小児科や内科などがお勧め。
- 【心理療法】外来で症状を詳しく話すことが大切です。症状が出るようになると、できないことも増えてきます。そうした際に自分自身を責めることはストレスに直結するため、100点をめざすのではなく75点をめざす75点主義の考え方を取り入れることも1つの方法です。
まとめ
上で述べたように、ストレスが要因となって発症、また症状が悪化することが多い病気です。まずはお子さんの心のケアを大切に、病院等を受診し、適切に対処していきましょう。
保護者のみなさんに大切なのは、焦らず対応していくことです。親の焦りが子どものプレッシャーになり、症状改善を難しくすることもあるためです。まずは家を安心して過ごせる場にしていくことを意識してみてください。
参考情報
▼過敏性腸症候群の経験者の声
▼医師会と共同制作した不登校ガイドライン
①不安定型(腹痛および腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で現れます。)
②慢性下痢型(少しでもストレスや不安を感じると下痢を引き起こします。神経性下痢などとも呼ばれます。)
③分泌型(強い腹痛の後、大量の粘液が排泄されます。)
④ガス型(おならが出てしまう症状。症状が重くなると、他人の前では無意識のうちにガスや臭いがもれるようになります。)