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Myホームエデュケーション_01「子どもの学びのために大人ができること」

我が家のホームエデュケーション

こんにちは。
たより編集部です。

みなさんはホームエデュケーションという言葉を知っていますか?

今回はそのホームエデュケーションをされている方のお話を紹介させて頂きます。ある不登校の子の保護者の方が寄せてくださった文章です。

家でも十分に子どもは学び、成長していける。ホームエデュケーションというあり方

私がこれを知ったきっかけは
子ども達の不登校からでした。
下の2人が不登校で
2番目の長女の時は確保法もなく
親子共にとてもつらく苦しい不登校生活

そんな時、ご縁で知った不登校の親の会。
そこで得た多くの情報の中にこのホームエデュケーションがあった

でも、当時は「多様な学び」という言葉は全く浸透していないし、親である私自身が

学校に行かせたい
学校は行くものだ


という想いが強かったのでその時点ではピンと来なかったです。
だから長女の時の不登校は、つらく苦しい時期が長く続いてしまったわけですが…

その後2016年に、教育機会確保法が成立。
(教育機会確保法についてはこちら

そのおかげでもあり「多様な学びを認める」ということが、現在まで少しずつですが浸透してきています。
ホームエデュケーションは、この「多様な学び」のなかに入ります。

ホームエデュケーション説明


ホームエデュケーションは、家を基盤とした、子ども中心の学び方で教育の選択肢のひとつです。

学校の枠に合わせるのではなく、子どもの個性や人格を尊重し、興味関心や意欲、ペースを大切にする学び

家庭や地域の教育資源、例えば、博物館や美術館、プールや家の周りの大自然、生き物など、知りたいこと、やりたいことを子ども自身が自分で決めて、日々の生活の中で学んでいく。
親が子どもの成長に責任をもって、子どもと共にはぐくんでいく学び。

それがホームエデュケーションです。

では、どんな風に日々の生活、やりたいことが学びに繋がっているか。
それは我が家では末っ子の次男くんが教えてくれています。

「やりたい」が学びの源泉。彼は「努力した」とは思っていない。

次男は現在14歳、中学2年生です。
小学校に入学しすぐに

ぼくは退学する!

と言い出しました。

学年が上がるたびに元気がなくなり、小学校4年から不登校で授業は受けていません。
この時からホームエデュケーションがスタート。

では、家では毎日何をしているのか。

基本、我が家のホームエデュケーションは「自由」です。

全てが自己決定の世界です。
いつ起きて、いつ寝るのか。食事やお風呂、その日やりたいこと、やらないこと、自分で決めて生活しています。

明日はこれやろうと決めていても、当日他の事に興味がわいて違う事をすることもよくあります。その日その時を彼は生きています。

例えば夏の朝、起きてとても天気がよく暑かったから今日は川に行く。
そもそも、天気はその日にならないと分かりません。
その日のやりたい事はその日の状況や気分で決めます。

川に行けば、川の中がみたいのでシュノーケルをして泳ぎます。
泳ぎは全て自己流。
川に流れて、遊びながら泳げるようになる。
川の流れには変化があります。
それに危険もあります。
何度も遊んでいるうちにその変化や危険を理解し、川とうまく付き合う方法を自然と学びます。

そんな中で、そこで生きている命に興味がわいてきます。
魚が何を食べどんな場所にいるのか。
川の中の生態系や、そこにある木や石まで興味は次から次へと広範囲に広がります。
近くの川は彼にとって知識と学びの宝庫です。

そして努力もします。
我が家は毎年海に行きます。
海の生物も大好きで、彼の楽しみの一つです。
海の中を知るには潜れないと知ることが出来ません。
シュノーケルを付けて素潜りするのは結構大変です。

でも、どうしても潜りたい。

だから、夏になると川で素潜りの練習をしていました。
少し深いところで、何度も何度も潜る練習をします。
シュノーケルの中の水や川の流れ、呼吸など何度も何度も失敗しながら挑戦します。
そしてだんだん潜れるようになりました。

シュノーケリング

これは、彼の「やりたい」という気持ちが勝手に努力をさせていたと思います。

ただ、当の本人は全くそれを「努力した」とは思っていません。

そのおかげでその年の海は足がつかないところでも泳げるようになり、潜って大きなサザエを取ったり魚を追いかけたりできるようになりました。

今では、私のことを助けてくれるくらい頼れる男に成長しました。

「面白そう」からひろがる学びの可能性

この川からの学びを得るという行為は、その日その日の状況で川に出られる出られないが決まるので、自由が基本でない限り、可能とはなりません。

彼の日々の自己決定が、全ての出来事につながり経験値となり学びと成長、そして自信に繋がっています。

彼の興味関心は多岐に渡ります。

昆虫や微生物などの生き物全般から天体、銀河、宇宙、地球の成り立ち、恐竜や古生物、時代や歴史、そして人。
人間の歴史や人とのかかわり、戦争や争いに使われた道具や乗り物、国の歴史や地理、宗教、神のこと。

大好きなゲームからも多くの学びがあります。
設計やデザイン、戦略や地形の特徴、協力、物事のバランスなど。
ゲームにも努力が必要で判断力、向上心や自己肯定感も上がります。

生き物に関しては、たくさんの生物を飼育、観察しています。
自宅の近くにいる生物がほとんどで、幼虫から蝶になるまで観ることもあります。
カブトムシやクワガタを飼育することも。
カタツムリの卵からの成長や、アリの飼育も年々レベルが上がっています。

カマキリの成長
カエルが卵から成体になるまで
ハエトリグモやゾウムシなど

様々な生き物を飼育し観察する中で、自分で考え仮説を立て、体験や経験を通して結論を出していきます。

蟻の飼育

その経験は多くの失敗も与えてくれます。

大切に育てていた物が、自分のミスやめんどくささなどでこわれたり、死んでしまったりします。でも、全て自分で決めて行っていることなので、他人のせいにはしません。

後悔し、落ち込み、しっかりと自分と向き合います。

彼はその失敗から、多くの気付きを得ているようです。
多くの素晴らしいエピソードがありますが、今回はもう一つだけ伝えさせてください。

子どもの学びをサポートするために大人ができること?

カブトムシたちのことを話します。

彼は、取ってきたカブトムシやクワガタを交配させ、卵をとりひとつひとつケースに入れ、卵から幼虫、蛹、成虫へと育て、それを6世代くらい続けていました。

このカブトムシは彼にとって多くの学びを与えてくれます。

交尾をしているオスとメスを見つけると私を呼びます。
生命の神秘を学び、私に言います。

パパとママもこうして僕たちが出来たんだねー

私は「そうだねー」と笑顔で答えます。
これは、カエルの時もそうでした。
卵の中で変化する様子。オタマジャクシからカエルになる過程を見て彼は「ママのお腹の中みたい…」と言っていました。

カブトムシの飼育

一時期は50匹以上になったカブトムシの幼虫を育てるのに、エサとマットになる腐葉土が大量に必要になるので、彼は腐葉土を自分で作ることにしました。

山に行き大量の落ち葉を集め、庭の土のところで、幼虫用の腐葉土を作りました。

落ち葉が腐葉土になるのに必要な水分や分解してくれる小さな虫や微生物、ミミズなど、腐葉土ができるまでの変化や過程をよく観察し自分で考え、気付き、学びます。

自家製の腐葉土を、幼虫たちのエサにし、そのフンも良い肥料になることを、彼は調べて知っていました。集めて家の花壇に撒き、学校にも持っていくと、先生が花壇にまいてくれました。

こうして、カブトムシを育てることによって派生する、気付きや学びは多方向へ広がり、知識を増やします。

腐葉土を作る

何世代も繋げてきたカブトムシですが、あるとき個体の変化に気付きます。

年々小さくなっていき卵の数が減り、去年採れたのは8個。
そして今年、成虫になったのはなんと0匹でした。

今まで大切に育ててきた我が家産のカブトムシは全滅してしまったのです。

いろいろな状況で成長できなかったカブトムシたち。
なぜこんなことが起こったのか。
彼は落ち込み、悲しみ、片付けながら、考えていました。

「大自然の中、生き残り育つ、強い命。DNA」

「生きる力」が、そこに関係していることに彼は気付きました。
しかしこの日は相当ショックだったらしく、私に「悲しい」と言いベッドで泣きながら、いつの間にか眠ってしまいました。

この出来事からの学びには続きがあります。
その後に出会うある生物が彼のポジティブな彼らしい考え方を、引き出すのですがまた次回にお話します。

このように、家庭でできる自由教育がホームエデュケーションだと私は考えています。

自由にすることで、感性が爆発します。

子どもってそもそもが知りたがりのやりたがりです。

そして家では暮らしの中に多くの問いがあります。
「なんで⁈どうしてこうなの⁈」
ちょっとした不思議や知りたいこと、これが好奇心になり学びと探究につながります。

学びを与えるのではなく、自ら考え、想像する。
ワクワク、ドキドキしながら。

そしてそんな彼を見ていると

学び」は誰のために、なんのためにあるのかが明らかなように思います。
彼の「学び」は彼自身の評価によって成り立っています。

こんな毎日を過ごしている彼はいつも

あー、楽しかった! 毎日幸せ♪

と言ってくれます。

このホームエデュケーションで、私たち大人ができる事は案外少ないです。

「答えを出さないこと」
「一緒に考えること」
「信じて任せること」
「感動を伝えること」


どんなに失敗しても見放す事はせずに共感すること

そして、出せるお金を出すこと。
大人は子どもの学びを邪魔しない!
子どもの時間は子どもの物で、好きなだけ自分の時間を、自分で使い大切にしてほしい。

どんなあなたも大好きで、どんなあなたも愛しているよ

我が家の根っこにはこれがあり、子どもだけでなく、家族全員に当てはまることと考えています。

家族みんなが

「あなたはあなたのままでいい」 

なのです。

これが我が家の幸せの秘訣で我が家のMyホームエデュケーションです。