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とちぎ居場所インタビュー #03_LINE相談支援「ただ話せる場所が、こんなにも心を軽くする」 相談支援員Mさんのまなざし

とちぎ居場所インタビュー企画、第3弾‼︎

今回はLINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」で、相談支援員をされている”Mさん”にお話を伺ってきました。お母さんのほけんしつは、NPO法人キーデザインが運営している、子どもの不登校に悩む保護者向けの無料LINE相談です。

インタビュアーである私の目線で記事にさせていただきます。どのような思いを持って、保護者のみなさんのご相談に乗っていらっしゃるのか、伝わるものがあれば幸いです。ぜひご覧ください。

ご自身の経験を、今度は誰かの勇気へとつなぐ

「この事業に関わるようになったきっかけは、娘が不登校になったことでした」

そう語るのは、NPO法人キーデザインが運営するLINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」で活動する支援員・Mさん。自身の経験を活かしたいという思いから、数年前にこの活動を始めました。

「実際に公共機関などの窓口に相談に行っても、答えが得られなかったり、責められているような気持ちになったりすることがあります。LINEなら、自分のペースで、好きなときに、誰かに話すことができる。それがとても大きいと思ったんです」

Mさんが大切にしているのは、表面的なやりとりではなく、「お母さんの心に寄り添う」こと。

「相談の入り口は『子どもの不登校』だけれど、やりとりを重ねると、実はお母さん自身が苦しんでいることが見えてくるんです。“仕事の悩み”だったり、“家庭の孤立感”だったり。子どもをどうこうするよりも、まず自分が少しでも楽になってほしい、そう思っています」

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相談内容は千差万別。でも、やりとりの中で何度も出てくる「辛い」という言葉を見つけると、「この方、いま本当にしんどいんだな」と、行間からその心の声を読み取る。小学校に上がる前の子どもから、20歳を超えた若者まで。お母さんたちの不安や孤独は、年齢や状況を問わず、深く、切実です。

「しばらく相談が途絶えていた方から、“あのとき相談に乗ってもらったおかげで、子どもが高校に通えるようになりました”って、ふと思い出して連絡をくださることがあるんです。本当にうれしくて。言葉が届いていたんだなって」

答えを伝えるのではなく、一緒に考えていける存在に

Mさんは、“解決策”を押しつけることはしません。その代わりに、今のお母さんの気持ちを丁寧に受け止め、必要なときは情報提供もしながら、一緒に道を探っていきます。

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「どうしたらいいですか?」と尋ねてくるお母さんの言葉の裏に、本当は何があるのか。それを想像しながらやりとりしています。答えを伝えるだけではなく、”一緒に考えていける存在”でありたいと思っています。

最後に、支援員として届けたいメッセージを尋ねると、静かに、しかし力強くこう答えてくれました。

「お母さんたちは、本当にすごく頑張っている。子どものことを思えばこそ、悩んで、苦しんでる。でも、もう十分頑張っていること、自分を責めなくていいことを、まずは知ってほしい。学校がすべてじゃないし、すぐに受け入れられなくても大丈夫。誰かに話すことで、気持ちが少しずつ整理されていく。だから一人で抱え込まないでほしいんです

そして、LINE相談を支えるマンスリーサポーターの存在にも、感謝の言葉を。

「不登校で悩む子どもや親は増えているのに、理解や支援はまだ追いついていません。そんな中で、このLINE相談を続けられているのは、サポーターさんたちのおかげです。誰かの“話せる場所”を守ってくださって、本当にありがとうございます

どこにも行き場がないと感じている親たちにとって、「話せる場所」があることは、それだけで希望になります。今日も、スマホの向こうで、言葉にならない気持ちをじっと受け止める支援員がいること。その存在が、多くの親子をそっと支えているのです。

編集後記

 ご自身も不登校子育てを経験されたMさんは、相談に来られるお母さんの気持ちを丁寧に受け止め、必要な情報提供をしています。「一緒に考えていける存在でありたい」そう話す姿が印象的でした。「自分のペースで、自分のタイミングで話せるのがほけんしつ。不登校をすぐに受け入れられなくても、誰かに話す事で少しずつ整理されていきます。」Mさんは解決策の提示ではなく、対話の中でお母さん自身が答えを見つけるまで寄り添います。経験者だからこそ、届けられるものがある。Mさんの笑顔の中に、優しさと同時に強さを感じました。(たより編集部)

「お母さんのほけんしつ」をもっと知りたい方

お母さんのほけんしつは、NPO法人キーデザインが運営する、保護者向けの無料LINE相談窓口です。ご関心のある方は下記より紹介ページをご覧ください。

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