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おたより#003_不登校の子どもとゲーム。親としてどうする?

おたより_不登校とゲーム

 ゲームは「不登校の子どもにとって命の浮き輪」とも言われることがあります。

 現代において、ゲームは単なる娯楽の枠を超え、子どもたちの心の支えとして機能することが少なくありません。不登校の子どもたちにとって、ゲームはどのような役割を果たしているのか、またゲームとの付き合い方をどう工夫すれば良いのかを考えていくことは、保護者にとっても重要なテーマです。

 今回のおたよりでは、不登校の子どもがゲームに没頭する背景や、ゲームが持つメリット・デメリット、上手な付き合い方、さらには保護者の関わり方について詳しく解説します。

1. 不登校の子がゲームに没頭する背景

 不登校の子どもたちがゲームに没頭する理由には、さまざまな背景があります。学校に行かなくなることで社会とのつながりが断たれ、孤独感や不安感を抱えることが多くあります。そのような中でゲームは、子どもたちにとって心のよりどころとなる存在です。

 ゲームの中では自分のペースで進められたり、失敗しても何度でもやり直せるため、自信を取り戻しやすい環境が整っています。また、オンラインゲームでは同じ趣味を持つ仲間とつながることができ、コミュニケーションをとることで社会的なつながりを感じることも可能です。

 さらに、不登校になると、子どもは周りの目が気になったり、自分を責めるような気持ちになることがあります。「学校に行けない自分はダメなんだ」「周りからどう思われているんだろう」といった思いから逃れるために、ゲームに没頭することもあります。ゲームの中ではそうした現実の辛さを一時的に忘れることができ、自分を責めずにいられる空間として機能しているのです。

子どもたちは、以下のような気持ちを抱いていることがあります。

  • 「現実では誰にも話せないけど、ゲームの中なら仲間がいる。」
  • 「学校では失敗ばかりだけど、ゲームなら成功体験が積める。」
  • 「何もやる気が起きないけど、ゲームだけは楽しいと感じる。」
  • 「ゲームの中では自分らしくいられる。」

このように、ゲームは子どもにとって自分を肯定できる貴重な居場所となっています。

2. ゲームのメリットとデメリット

メリット

ゲームには多くのメリットがあります。例えば、達成感や自己肯定感を得ることができたり、ストレスを発散できる点です。特に不登校の子どもにとっては、以下のようなメリットがあります。

  • 自己肯定感の向上:ゲーム内での達成感や成功体験が自己肯定感を高めるきっかけとなります。現実では味わいにくい成功体験を積むことで、「自分にもできることがある」という自信につながります。
  • ストレス発散の場:ゲームは現実のストレスや不安から一時的に離れ、リラックスできる場を提供します。楽しい時間を過ごすことで、気分転換や心の安定を図ることができます。
  • 仲間とのつながり:オンラインゲームを通じて同じ趣味を持つ仲間と出会い、交流することで、孤独感の軽減や社会的なつながりを感じることができます。共通の話題を持つことで、安心感や自己肯定感が得られることもあります。
  • 問題解決能力や集中力の向上:ゲーム内では様々な課題や問題を解決する必要があるため、自然と問題解決能力や集中力が養われます。これらのスキルは現実生活にも役立つ可能性があります。
  • コミュニケーション能力の向上:協力プレイやチームプレイが求められるゲームを通じて、他者とコミュニケーションを取る機会が増えます。自分の意見を伝えたり、相手を理解する力を養うことができます。

気をつけたいポイント

 一方で、ゲームに過度に依存してしまうと、昼夜逆転や生活リズムの乱れを引き起こすことがあります。また、長時間プレイによる体調不良や勉強時間の減少といったデメリットも無視できません。ただし、これらの問題は必ずしもゲームそのものが悪いというわけではなく、生活習慣や環境によって影響を受けやすいという面もあります。ゲームはあくまで子どもが心の支えとするための一手段であり、親子で適度なルールを作ることでバランスの取れた利用が可能です。

 重要なのは、ゲームに依存してしまう背景にある不安や孤独感を理解し、その根本的な原因に向き合うことです。ゲームを通して自己肯定感を高めたり、楽しさを感じられることは、子どもにとって大切な心のケアの一環でもあります。無理にゲームを制限するのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながら適度な付き合い方を考えることが、より良い結果を生むでしょう。

3. 不登校の子どものゲームとの上手な付き合い方

 ゲームを完全に否定するのではなく、子どもと一緒に上手に付き合うことが大切です。まずは、親子でルールを決めることが効果的です。例えば、「1日のプレイ時間を決める」「休憩を必ず取る」「他の活動(勉強や運動)にも時間を使う」といった具体的なルールを作ることで、ゲームが生活を圧迫しないようにすることができます。

 ルールを決める際は、子どもと話し合いながら一緒に決めることが重要です。ルールを一方的に押し付けるのではなく、「なぜこのルールが必要なのか」「どうすればお互いが納得できるのか」を話し合うことで、子ども自身が納得感を持ってルールを守ることができます。例えば、「何時から何時までは自由にゲームをして良いけれど、その後は家族の時間を作ろう」といった柔軟なルールを設定することも考えられます。

 また、ルールを決めた後も定期的に振り返りを行い、子どもの成長や状況に応じてルールを見直すことが大切です。「このルールはうまくいっているかな?」「もっと良い方法はないかな?」といった会話を通じて、親子のコミュニケーションを深めることができます。

 ゲームの内容にも目を向けてみることをお勧めします。教育的な要素を含むゲームや、協力プレイが必要なゲームを一緒に楽しむことで、コミュニケーションの機会を増やせます。ゲームを通じて共通の話題を持つことは、親子の信頼関係を深めることにもつながります。

4. 保護者の子どもへの関わり方

 ゲームに対するネガティブなイメージを持つのではなく、子どもがなぜゲームに魅力を感じているのかを理解しようとする姿勢が大切です。

 子どもの話に耳を傾け、ゲームのどんなところが楽しいのか、どんな気持ちになるのかを聞いてみましょう。共感することで、子どもとの信頼関係が深まり、ゲーム以外のことにも興味を持てるきっかけを作ることができます。

 さらに、子どもの自己肯定感を高めるために、ゲーム以外で小さな達成感を得られる機会を考えることも大切です。例えば、家の中でできる簡単な作業(部屋の片づけや料理の手伝いなど)から始めてみるのも良いでしょう。子ども自身が「自分でもできた」という感覚を積み重ねることで、自己肯定感を少しずつ高めていくことができます。

ゲームがつながりをつくる

 また、ゲームを通じて第三者とのつながりが生まれることもあります。オンラインゲームの仲間や、ゲーム関連のコミュニティで知り合った人々との交流が、子どもにとって大切な社会的なつながりを提供する場合があります。家族以外の人と関わることで、自分の居場所を広げることができ、孤独感の軽減や自己肯定感の向上につながることもあるのです。人とのつながりは、子どもの心の安定に大きく影響を与える重要な要素であるため、ゲームをきっかけに生まれるつながりを大切にする姿勢も必要です。

ゲームは、不登校の子どもにとって命の浮き輪のような存在であることを理解しつつ、上手に付き合っていくことが大切です。親子で協力しながら、ゲームを活用して子どもの心の支えを作っていきましょう。

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