お子さんが学校に通えなくなったとき、多くの保護者の方が「このままで大丈夫なのだろうか」「不登校だと社会性が育たなくなるのでは?」と不安を感じることと思います。
ですが、結論から言うと 「社会性は学校だけで身につくものではありません」。お子さんが安心できる環境の中で、ゆっくりと育んでいくことができます。今日は、その理由についてお伝えしたいと思います。
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社会性は、学校だけで学ぶものではありません
社会性とは「人と関わる力」や「コミュニケーション力」などを指しますが、それらは 学校以外の場でも十分に育つ ものです。
例えば、
このように、お子さんのペースに合わせた関わり方で、社会性を育むことは十分可能です。
そもそも、なぜ「学校が合わない子」が増えているのか?
「学校に行けば社会性が身につく」と考えがちですが、そもそも なぜ学校が合わない子が増えているのでしょうか?
その理由のひとつとして、 学校の仕組み自体が、子ども一人ひとりの多様性に対応しきれていない という問題が挙げられます。
学校が合わなくなる主な要因
画一的な集団行動への適応が求められる
日本の学校は「みんな一緒」を重視する傾向が強く、個々のペースや考え方が尊重されにくい環境があります。そのため、
- 指示通りに動くのが苦手な子
- 自分のペースで学びたい子
- 繊細で人間関係に疲れやすい子
などにとっては、大きなストレスになりやすいのです。
過密なカリキュラムと競争的な環境
近年、学習内容が増え、宿題やテストのプレッシャーも強くなっています。「成績がすべて」という価値観の中で、自分のペースで学ぶのが難しい子は、自信を失いやすくなります。
人間関係のトラブル(いじめ・友人関係)
友達とのトラブルや、いじめがあった場合でも、学校側がすぐに対応できるとは限りません。むしろ、「学校に行くことが第一」とされるため、無理に登校を促されることもあります。その結果、「人と関わること」自体が怖くなり、社会性を育むどころか対人関係への不安を深めてしまうことも。
先生の負担増による個別対応の難しさ
先生方も多忙を極めており、ひとりひとりの子どもに細かく寄り添うのが難しくなっています。そのため、困っている子がいても、じっくり話を聞いたり、適切なサポートを提供できないケースも少なくありません。
こうした 「学校の仕組み自体が変化に追いついていない」 ことが、不登校の増加につながっているのです。
そして、このような環境が合わずに学校に行けなくなった子に対し、「社会性が育たないのでは?」と心配するのは本末転倒です。 むしろ無理に適応させることで、お子さんの自信や対人関係の力が失われてしまう可能性がある のです。
大切なのは、「学校に行けるかどうか」ではなく、 お子さんが安心できる環境の中で、少しずつ人と関わる経験を積むこと です。
これからの社会では、多様な経験が強みに
ひと昔前は、「学校に通い、集団生活を学び、社会に出る」という流れが当たり前でした。でも今は、 生き方や働き方の選択肢が増え、個性を活かせる社会に変化しています。
リモートワークやフリーランス、起業など、自分に合った環境で活躍する人が増えています。つまり、「学校の集団生活に馴染めるかどうか」よりも、 「自分の得意なことを活かし、必要な場面で人と関われる力」が大切になってきている のです。
学校に行かなくても、お子さんなりの方法とペースで「人との関わり」を経験していれば、社会で困ることはありません。
大切なのは「自己理解」と「適応力」
社会性とは、「集団生活に適応する力」ではなく、 「自分を理解し、自分にあった人間関係を築く力」 です。
不登校の子どもたちは、学校に行かないことで「自分はどうしたいのか」「どんな環境が心地よいのか」をじっくり考える時間を持ちます。自己理解が深まれば、自分に合った人との関わり方を見つけやすくなり、結果として より良い人間関係を築く力が育つ のです。
無理に学校に戻そうとするよりも、お子さんの気持ちを尊重し、 安心できる環境の中で少しずつ社会とのつながりを作っていくことが大切 です。
最後に:お子さんのペースを大切に
「不登校になると社会性が育たない」というのは、あくまでひとつの考え方にすぎません。実際には、 お子さんの性格や環境に合った方法で、人と関わる力を育むことは十分可能です。
大切なのは、 お子さん自身が「自分は大丈夫」と思えること。安心できる環境の中で、自分らしい成長をしていけば、社会性も自然と育っていきます。
どうか、お子さんのペースを尊重しながら、一緒に「その子らしい成長」を見守っていきましょう。
お子さんは、きっと大丈夫です。