こんにちは、NPO法人キーデザインです!
宇都宮市でフリースクールミズタマリ、さくら市でフリースクールオハナを運営しています。
2026年9月13日(日)、栃木県宇都宮市の「おおるりファミリークリニック」にて、不登校の子どもや保護者への関わり方を学ぶ「不登校勉強会」を開催しました。栃木県内の中学生の実に10人に1人が長期欠席をしているといわれるいま、保護者の方をはじめ、学校の先生、医療・福祉に携わる方など、さまざまな立場の方12名にご参加いただきました。
当日は、不登校支援の現場に立つNPO法人キーデザイン代表理事・土橋優平と、おおるりファミリークリニック院長・柳澤先生のお二人が登壇。前半はそれぞれの立場からのお話、後半は参加者から寄せられた質問にその場でお答えするパネルディスカッション形式で進行しました。本記事では、当日の講演とパネルディスカッションの様子、そして参加後アンケートの結果をあわせてお届けします。
開催概要
- 日時:2026年9月13日(日)10:30〜12:00
- 会場:おおるりファミリークリニック(栃木県宇都宮市上戸祭町288-1)
- 主催:NPO法人キーデザイン/共催:おおるりファミリークリニック
- 登壇:土橋優平(NPO法人キーデザイン代表理事)、柳澤先生(おおるりファミリークリニック院長)
- 参加者:12名(保護者8名、教育・医療関係者2名、その他2名)
「敵じゃない」と伝えることから——土橋優平による講演

前半、土橋からはNPO法人キーデザインが歩んできた10年についてお話ししました。高校生・大学生への相談支援としてスタートした活動を通して見えてきたのは、不登校の背景に幼少期からの積み重ねがあるということでした。
自分のありのままを受け止めてくれる人がいる、社会は怖くないんだという感覚を持てるようになれば違うんじゃないか——そう仮説を立てて、不登校支援に取り組み始めました
土橋優平
その仮説をかたちにしたのが、2019年に始まったフリースクール「ミズタマリ」です。ゲームもスマホも自由な環境で、子どもたち一人ひとりのペースに合わせて過ごしています。そこから、家庭訪問型の「ホームスクール」、保護者向けLINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」(登録約5,700名)、「不登校ガイドライン」の作成などへと活動を広げ、近年は保護者の離職・休職につながる「不登校離職」の課題にも取り組んでいます。
隣で一緒に過ごすうちに、あ、この人は敵じゃないんだと理解が変わっていく。そこから、フリースクールは、この人に会いに来る場所に変わっていくんです
土橋優平
医療にできること、できないこと——柳澤先生(おおるりファミリークリニック院長)による講演
続いて登壇したのは、おおるりファミリークリニック院長の柳澤先生。「こころの問題」を中心に診察にあたる立場から、不登校における医療の役割についてお話しいただきました。
不登校に関しての医療の貢献度は低いです。医療で関わっていける場所も少ない
柳澤先生

学校に相談したのちに医療機関の受診を勧められ、不登校支援の「最初のゲート」となることも多い一方、背景には家庭・教育・経済的な事情や価値観の違いなど、医療だけでは関わりきれない要因が数多くあるといいます。近年増えている「起立性調節障害」も、朝起きられず午後には元気になるという特徴が「怠けている」と誤解されやすく、本人へのプレッシャーとなって悪循環を生みやすいことが紹介されました。
医療が担えるのは本当にわずかな部分。だからこそ、土橋さんたちのように社会的な活動や人と接することを通して人が変わっていくという、支える視点が大切になる
柳澤先生
参加者からの質問に、お二人が答えるパネルディスカッション

後半は、休憩中に無記名で寄せられた質問や相談に、土橋と柳澤先生がその場で答えていくパネルディスカッション形式で進行しました。個々のご相談内容は特定を避けるため抽象化し、お二人からの回答を中心にご紹介します。
Q. 子どもへの声かけは、何が正解なのか分かりません。
A. 「行きたくない」に納得できなくても当然のこと。声かけの基本は、まず存在そのものを肯定すること。本人から問いかけが出た瞬間を逃さず、会話を広げていくことがおすすめです。
Q. 発達に特性のある子どもと、どこまで親が関わればよいのでしょうか。
A. 特性があっても多くは2〜3年遅れで成長していくもの。同年代でなく「その子自身の過去」と比べる視点や、「できることを増やす」という低めの目標設定が助けになります。自立とは頼れる先を増やすことでもあり、親以外の大人との関わりを今のうちに作っておくことが大切です。
Q. この先の進路や将来について不安があります。
A. 高校は義務教育ではなく、卒業できなくても人生が終わるわけではないこと。大検(高卒認定試験)や専門学校など選択肢は複数あり、20代を「自分に合った生き方を探す期間」と捉えるくらいの気持ちでいいのではないでしょうか。
Q. 家庭内で、大人同士の考え方の違いに悩むことがあります。
A. 一つの問題をきっかけに価値観の違いが見えてくるのは自然なこと。保護者としての関わりは子どもが18〜20歳頃までを一つの目安に、それ以降の関係は夫婦二人で決めていいものだと思います。
Q. 医療や支援になかなかつながらないとき、どうすればよいでしょうか。
A. つながることを急ぐより、まず「外に出る意欲」「人と会う意欲」を育てることが大切。訪問看護やオンラインフリースクールなど、医療以外の選択肢も増えています。そうした場を活用することで、学校復帰や集団生活を送るということだけでなく、まずはたった1人との出会いをつくるという目標設定をすることも選択肢の1つだと思います。
アンケートから見る、参加者の声
勉強会の満足度は平均4.8点(5点満点中/回答12件)でした。
5段階評価で尋ねた満足度は、平均4.8点(「5」「4」を合わせて回答者全員=100%)という結果に。参加者の3人に2人は保護者の方で、教育・医療関係者や、通信制サポート校の開校を予定している方など、多様な立場からのご参加もありました。
参加者の声(アンケート自由記述より)
子どもたちのことをとても深く想ってくれているのを感じて感動しました。フリースクールにもいろいろあるという事がわかり、フリースクールについてよく調べてみようと思いました
元不登校支援者・教育関係者です。不登校について医療機関も何とかしようと思っていることがわかりました。おふたりのコラボはしんみりとしていいですね。このような会を続けてください、発信してください
2027年4月から高校通信制サポート校を開校予定です。教育面と医療面からの見方が参考になりました。1つの側面からでは解決に至らないこともある、いろいろと協力して繋がっていく事が大切に感じました
認め合う事、ストレスをなくす事など、甘やかしでは?と感じながら何年も過ごしていました。子どもにとっても、自分にとっても健やかな状態にもっていけるようにしていきたいと思います
子どもが何を求めているか、どうしたいのか、どう感じているのか、子どものことだから、子どもの気持ちがまずスタートになることを改めて実感する時間となりました。大人1人1人が”幸せとは?”を気軽にでも真剣に考えることが必要なのかなと思いました
親自身、子どもと家で過ごすことが増えてしまい、外へ出る機会、ほかの方の意見を聞く機会が少なくなっていたことに気づきました
さいごに
今回の勉強会は、おおるりファミリークリニックのご協力があってこそ実現しました。「医療だけでは関わりきれない」という柳澤先生の率直な言葉と、「一人ひとりの声から社会にないものをかたちにしてきた」という土橋の歩みが同じ場で重なったことは、参加してくださった方々にとっても、そして私たちにとっても、不登校を一つの立場だけで抱え込まなくていいのだと確かめ合う時間になりました。
アンケートでは「このような会を続けてほしい」というお声を複数いただいています。NPO法人キーデザインでは、こうした医療機関との連携も含め、今後も様々な立場の方と一緒に「不登校」について考える機会をつくっていきたいと思います。
保護者の方の相談は、LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」にて無料・何度でも承っています。一人で抱え込まず、ぜひ頼っていただけたら嬉しいです。
本日はご参加いただいた皆さま、そして会場と貴重なお時間をくださったおおるりファミリークリニックの皆さま、本当にありがとうございました。












