みなさん、こんにちは。たより編集部です。
今回は、お母さんお父さんから届いた手記をご覧ください。
「子どもが不登校になった」
そんな”まさか”の出来事にでくわし
様々な苦労を経験してきた
お母さんお父さんが全国に大勢います。
時間を経て、多くの人と出会い
様々なことを学び、感じてきたからこそ
伝えたいことがある。
そんな先輩たちの手記です。
1人でも多くの、今も悩むお母さんお父さんに届きますように。
そして微かでもいい。
みなさんの心に、安心や希望が宿りますように。
3人の子どもが9年間の不登校生活を経て感じた母の思い(Mさん・お母さん・栃木県野木町)
経験したからこそわかることを箇条書きでお伝えします。
*子どもが不登校になった時点で、親(主に母)も子もそれまで色々と葛藤してきたため、かなり消耗している。そういう場合に、学校側が登校刺激や叱咤激励をしたところで、ただ追い詰めるだけで逆効果である。
*「教師だから」という理由で、子どもや保護者がはじめから教師を 100%信頼していて、何でも言うことをきくと思っているとしたら、大きな間違いである。
*担任と折り合いが悪かったり、いじめがあっても学校が何も対策をしなかったりして不登校になった時には、母も子も担任や学校というものには不信感しかなく、顔も見たくない・金輪際関わりたくないぐらいの気持ちである。またその際、子どもにとっては学校という場所は、安心安全な場所ではなく、ただ「自分の命を脅かす場所」となってしまっている。
*子どもが担任と相性が悪く、不登校になった時、担任以外の先生が関わることに関してタブー視されすぎているのはいかがなものか?
子どもも 1 人の人間なので、相性というものは少なからず存在する。
その場合に、親は担任には不信感しかなく、口もききたくないので、学校内に親とコミュニケーションが取れる人物(養護教諭?学年主任?スクールカウンセラー?それ以外の中立的な立場の人?など)がいつもいて、担任との間に入ってくれると、親としてはとてもありがたい。
*学年がかわり担任も変わった時は、特に母親は「担任はどんな人なんだろう???大丈夫かな??傷つくようなこと言われないかな?」と言う不安な気持ちでいっぱいである。
*不登校の子どもたちは、大人から見れば家で何もしていないように見えるが、いつも学校のことを考え、ほんとうの意味で休めていない。そして、「自分は普通のことができないんだ」と、いつも自分を責めている。
*それにともない、セルフイメージが著しく低下してしまっている。また、子どもだけではなく、母もセルフイメージが著しく低下する。
*子どものケアももちろん大事だが、まずは子どもを支える母親が元気になる必要があると
考える。
*セルフイメージの回復においては、母も子も、家族はもちろんだが、家族以外の第 3 者から
の承認が不可欠だと考える。特に信頼できる相手からの承認は大きな支えになると感じている。
*母と学校(担任など)との信頼関係の構築が、子どもと学校(担任など)との信頼関係の構
築につながる。
☆信頼関係を築くには?☆
・相手を説得しようとしない。
・相手を変えようとしない。
・相手の話を否定しないで最後まで聴く。(話の腰を折らない)
・個人的な価値観をおしつけない。
・上から目線で話さない。
・約束は必ず守る。もし守れなかった場合には、誠心誠意謝罪する。
・「Iメッセージ」で伝える (自分はこう思います的な言い方)
・相手との共通の話題を見つける。・・・・などが重要と考える。
最後に・・・
◉先生や周りの人から言われてとても悲しかったこと
・学校に来なくて、社会性はどうやって育てるのか?
・将来はどうするつもりだ?
・親としての責任をどう考えているんだ?
・生活習慣ぐらいは整えないとだめだよ!!(不登校児の昼夜逆転はよくあることなので)
・勉強はどうするの? などなど
これらの言葉は、言われなくても母も子も一番不安で常に考えていることであり、ただ追い詰
めるだけの結果になります。
◉ある先生から言われて救われたこと
・(昼夜逆転してるという話をしたときに)でも、睡眠時間はしっかり取れてるんですね!
・何かあったらいつでも相談してきてください。
・〇〇くんのペースで成長できれば良いんじゃないかと思いますよ。
・一緒に見守っていきましょう。
・焦らなくてもいいと思います。
・色々行って、自分にあった居場所を見つけられればいいじゃないですか(^^)
このときの担任の先生は、とにかくよく話を聴いてくれる人で、こちらを説得したり、否定し
たりしたことはなく、不登校のわが子を尊重して、1人の人間として接してくれました。とても
信頼できる人で、親としては何でも相談できる頼もしい存在でした。わが子が、卒業後も「先
生と話せないかなぁ?」と言って、相談に乗ってもらっていました。
◎「学校」という場所が、教師も子どももともに様々なことを学び、人間として成長できる場
所であることを切に願います。
✦以上のように思うようになった経緯
子どもたちが不登校になる前は、子どもが言うことをきかないと叱ったり、子どもの意志とは
関係なく物事を勝手に進めてしまったりしていて、
「子どもは親の言うことをきくべきだ!!」
「いい子じゃないとダメ」
などの信念を持って子育てをしてきており、子どもを親の思い通りにコントロールしようと思っていた。
また、子どもたちが社会に出たときに、きちんと社会に適応できる大人に育てないといけない・世の中は甘くないのだから、厳しく育てないときちんとした大人になれないと思っていた。常に世間体を気にして、自分は良い母親だと思われたいがために、子どもたちに厳しく接していた。
子どもたちが学校に行かなくなり、「公教育以外の学び」を調べているうちに、「サドベリース
クール」の存在を知った。
サドベリースクールでは、
「何をして過ごすか?何を学ぶのか?はすべて子どもたちが自分で決める」
「自分たちのルールは全て話し合って決める」
「大人も子どもも対等な立場である」
などの理念を掲げており、子どもの力を信頼する姿勢に感銘を受けた。
また、サドベリースクールに通う子どもたちが「自分たちは『心配』じゃなく『信頼』してほしいのだ」と言っていたという話をきき、深く納得したのと同時に、自分は子どもたちのことを全
く信頼していないし、子どもたちも自分を信頼していないのだと気付いた。
それからは、ボロボロになってしまっていた親子の信頼関係を構築するため、子どもたちに対して、
「余計な口出し・手出しをしない」
「子どもを信じる」
「やってほしいと言われたことだけやる」
などを心がけて接した。「子育て心理学」も学び、家庭内で実践するようになった。
また、同じように悩んでいるお母さんたちのためになにか役に立てればと思い、心理カウンセ
リングのスキルを学んだ。
心理カウンセリングの実習では、カウンセラー役とクライアント役に別れ、途中で役を入れ替わ
ったりしながらお互いの話を傾聴し合う方法を取っており、そういった中で、
「話を否定されない」
「攻撃されない」
「受け入れてもらっている」
という感覚は、
「安全なのだ」
「ここにいても良いのだ」
「自分が自分でいて良いのだ」
という安心感に繋がるのだと思った。
それから、クライアントとカウンセラーの信頼関係の構築のためには、
「最後まで話を聴く」
「クライアントを否定しない。100%受容する」
「余計なアドバイスはしない」
などが重要だと学んだ。
そして、子どもたちに対しても同じように接するようになった。
子育て心理学や心理カウンセリングのスキルを普段から実践することで、親子の信頼関係が
構築されてきたのではないかと思っている。
〜長男のケースより〜
長男は小3の 3月から不登校だったが、高校進学を意識したのか、中2の秋に「担任と連絡をとってくれ」と言い出した。小学校で友だちや先生と折り合いが悪く、たくさん傷ついてきたと思われたため、親としては「また同じことを繰り返すのではないか」と、とても心配になった。
しかし、当時の担任の先生は話をよく聴いてくれる人で、長男の対応について何度も母と話をしてくれた(おそらく、どのように接したらよいのかわからなかったのだと思うが)。
当時の長男は、たくさん傷ついたことで心を閉ざしてしまったように見えていたので、
先生には、「勉強を教えてあげてください」ではなく「信頼できる大人が存在するのだということを教えてあげてください」「一人の人間として彼と接してください」とお願いした。
中3になっても担任の先生は変わらなかったので、中2の秋から中学を卒業するまで、夏休
み・ 冬休みも含め、週に1回程度夕方登校を続けた。登校時には、小学校の内容のワークをや
ったり、先生と一緒に英語の歌を歌ったりしていたようだ。
中3の1月〜3月にかけては、週に2日〜3日程度、午前中に一人で校門まで先生に会いに行っていた。「別時間に個別で」ではあったが、卒業式にも出席した。先生が、長男を1人の人間として尊重して接してくれ、多くの対話をしてきたことで、長男も先生を信頼していたように思われる。
長男は、不登校になってから外出することが減り、人と会うことを避けているようだった。し
かし、夕方登校を続けたり、1人で校門まで先生に会いに行ったりしている姿を見ていて、わたしは、
「親子の信頼関係を築くことは、子どものより良き人生にとって大前提であるが、信頼できる第3者の存在は不可欠であり、その人からの承認はセルフイメージの回復のためにとても重要なのだ」
と思った。
信頼できる人…自分はそのままで良いのだと思える。安心していられる。その人らしさ・能力
が発揮できる。
信頼できない人…攻撃・否定などされるのではないか?傷つけられるのではないか?などの
不安がある。警戒・消耗する(⇐脳は命の危険があると判断)
因みに・・・
◉9年間「不登校」と付き合ってきた中でよき思い出となっていること
〜長女について〜
長女は、中1の2学期から本格的に不登校になった。直接の引き金となったのはいわゆる「い
じめ」であるが、本人的には小学校高学年から学校に対して違和感を感じていたようだ。
学校を休みはじめた当初「わたしは奴隷でも囚人でもない」と言われたこと、また「お願いだ
から家にいさせて」と懇願されたことは、9年経った今でも胸に深く刻まれている。
中2になり担任が変わった。いつも穏やかで、こちらの話をきちんと聴いて受け止めてくれる
人だった。担任の先生とは定期的に面談があったが、長女はいじめが引き金になり不登校に
なったため、学校の敷地に足を踏み入れることができず、先生にその旨を話すと、公民館に部
屋を借りてくれ、なんとか面談に行くことができていた。
先生の柔軟な対応がとてもありがたかった。面談時も、穏やかで決して長女に対しても母に対しても高圧的な態度を取らないところが、こちらとしては好感が持て、長女も先生と話すことができていた。
「面談は必ず学校でやらなければならない」「生徒なんだから学校に来て面談するのは当然だ」という考え方をする先生だったら、長女は心を閉ざし、一度も担任の先生と話すことなく中学を卒業していたと思われる。
〜次男について〜
次男については、長女・長男が先に不登校になっていたため、小2の GW あけから必然的に不登校になった。
それまでは、母が車で送って行ったり、一旦保健室まで行ってから教室に入ったりしていたが、別れ際に泣くようになり、「これ以上1人で頑張らせてはこの子がダメになってしまう」と思い「もう学校行くのやめよっか」という感じで、学校に行かなくなった。
次男は、”性格なのか?学校における人間関係で深く傷つかないうちに学校に行かなくなったか
らか?それとも頑張ってそうしているのか?”はわからないが、いわゆる不登校という状況にあ
っても人に会うのを避けたりすることもなく、セルフイメージが低下してしまうようなことも
ないように思われた。
また、義務教育期間を通して担任の先生には恵まれ、小学校時は1学期に1回程度面談があったが毎回スムーズに面談できていた。毎年担任は変わっていたが、わが家の考え方や学校との付き合い方について、先生が受け入れてくれていたこともあり、母子で良好な関係を築けていたのではないかと思っている。
中学校時は3年間同じ先生にお世話になった。入学して間もない頃、先生から「自分になにかできることはないですか?あったら遠慮なく言ってください」と言われ、本人に伝えたが「特にない」との返事で、先生にそのままその旨を伝えていた。
そのやり取りが何度か繰り返されたのち、母が「体育の先生だから(空手の)ミット打ちに付き合ってもらうのはどうかな?」と次男に提案してみたところ「あ~そうだね」という返事だったので、先生に伝えたところ快諾してくれた。
その後は卒業まで週1回の夕方登校を続けた。はじめのうちはミット打ちだけだったが、卓球・バドミントン・テニスの他、次男が熱中していた「数独(ナンプレ)」なども一緒にやったり、ただ雑談するだけという時もあった。
いつも先生は「来週はなにやる?」「今日はどうする?」「こういうのはどう思う?」など、次男の意思を尊重して接してくれていた。
母も毎回同席していたが、先生も次男もとても楽しそうな時間を過ごしているのを傍らで見ているのは、本当に幸せな時間だった。
✱こういった考え方もあります。ご参考まで✱
・びーんずネット ブログ「まず、親が幸せになる」
2022 年 12 月 22 日
「不登校はなぜ原因がわからないのか〜ポリヴェーガル理論の登場〜」
記事協力:コドモノミカタねっとわーく
手記を募集しています

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
どのように感じられたでしょうか。
みなさんの中に、子どもの不登校に悩む全国の保護者の方へメッセージを届けたいという方はいませんか?
よければ、力を貸してください。
一番つらいのはひとりぼっちでいるとき。
身近に誰も味方がいないとき。
誰も理解してくれる人がいないとき。
でもそんな状況でも、こうした全国の経験者がメッセージを届けてくれたら。
それはひとりぼっちの”そのひと”にとって、大きな大きな希望になると思います。
我慢していた涙を流すことができるかもしれません。
「もう少しやってみよう」と一歩踏み出すきっかけになるかもしれません。
「わたし、よく頑張ったよね」と自分を許すことができるかもしれません。
子どもの表情に目を向けることができるようになるかもしれません。
ぜひみなさんの力を貸してください。
かっこいい文章を書こうと思わなくていいんです。
素敵な文章を書こうと思わなくていいんです。
ありのままの、等身大のあなたの言葉を、ぜひ届けてください。
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